NPO法人 祖父江のホタルを守る会

実験田の稲刈りが済み ~ この一年間を顧みて ~(山内レポート)

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新しいことを知り新たに気付くことは楽しいことです。

昔のように水路と田んぼがつながり無農薬栽培をすればどれほど生物多様性が復活するかは、私も過去の体験から予測もできましたし、今年の実験田で再確認できました。が、米作りの観点からこの一年を見つめると、実にたくさんの事象と課題を見せつけられました。まさにいくつかの新しいことに気付かされました。久々に多くの資料を繙く動機を与えられて新たに知ったこともたくさんありました。父親から聞いていたことを思い起こしながら実験田を見て考えると、資料にあることがとてもよく納得できました(これも「温故知新」か?)。
まだ米の収量は確定していません。きっと衝撃的なのでしょうが、この一年の実験田での諸体験は私自身にとって充実したものでした。

2151551 4関心を持ったこと・聞いたこと・調べたこと・教わったことは、「冬季湛水」に関することから始まり、水田土壌の質、その酸化・還元、微生物の状態、・・・イネの生育に関する基本、イネの生育と有機栽培の関係、化学肥料にたよった場合の生育との違い、「水田雑草」について言えばその種類、それぞれの特徴・稲の生育との関係、除草の方法とタイミング、除草剤の種類と特徴等々、たくさんのことを学びました。ごく最近では、最新の農機のことも分らないなりに知ったことも。
そしてまだあります。田植え後の水管理は基本的にどうあるべきか、田植え直後・成長期・出穂期前後・刈取り前の水の温度や量の管理が米の収量や食味にまでも影響するということ、です。

弥生時代以降3~4千年もの歴史を持つ日本の稲作、その中で得られた知恵にはものすごいものがある、いやあるはずだとつくづく思う今日この頃です。

08 - 13私たちの「ホタルを守る会」、初期からの先輩会員が積み重ねられた貴重な生息調査があります。uchiawase20130613ここから判ってきたことは、貴重な自然自生の祖父江のホタルも絶滅の危機にあることです。“祖父江のホタル”の絶滅が本当に危惧される状況にあることを、現場の実体験と数字が示していると私は確信しました。何が原因かは多くの研究家が言われる通りでしょう。でも、その実証はあまりされていないように思います。それを少しでもすすめながら、貴重な自生種“祖父江のホタル”を保存する、それも自然環境を整える中で自生させて保存する。これがわれらの「実験田」です。

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日本の今の「食」、これからの農業のあり方が問われるようになったのは、根本には真に安全で豊かな自然環境をどうかしてしまったという、我ら日本のみんなの問題であったように思います。

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その根本の根本は、田んぼや小川など身近な里地・里山・里川の状態を急激に変えてしまい、豊かな自然環境の中で見られる生物多様性を子や孫にみせられなくなったことでしょう。真に豊かな自然環境に対する認識がどうかなってしまったことにあると言っても過言ではないと思います。私たちの「実験田」はそれを取り戻すためのものでもあります。

“ホタルを守る”“守れる”ためには、根本には多くの人々にこの認識がなければ、いかに数年間私たちや協力団体が努力しようと元の木阿弥となるでしょう。

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私たちは、ホタルのためももちろんですが、この国に暮らす人の心身の健康のために、若い世代に生物多様性について語り継ぐべきだと思って始めた実験田でもありました。(※ 小学校の授業や親子自然教室のフィールドとして活用し始められたことはうれしいことでした。さらにこれをひろげる努力をしたいと思っています。)image009.fw

とは言っても、ホタルの自然自生・生物多様性・語り継ぎたい想いを、今、支えるのは現在の農業です。

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特に水田稲作の生業が成り立たなければ絵空事、また元の木阿弥でしょう。若い世代で農業のあり方を自然環境・食の安全の面から考え、しかも生業も両立させたいとがんばる人材も現れています。さらに研究・工夫してくれる人が多く現れることに期待したいものです。この「実験田」はそんな人・そんな人に憧れる人のための「実験田」でもありたいと思いますがどうでしょう。act7

とにもかくにも、多くのことを学ばせていただいた1年間でした。
お世話になった大学の先生方はじめ他の会の方々・協力いただいた事業所の方々にお礼を申し上げます。
そして、会員のみなさんのご理解ご支援に心より感謝したいと思います。

 

NPO法人 祖父江のホタルを守る会
理事長 山内 晴雄

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ホタルのWebリング

稲沢市祖父江町の銀杏をはじめとした四季の味わいの織りなす名産物・特産品が集う当地のショッピングポータル「そぶえシンフォニア」です。ホタル米もお求めいただけます。
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・水田魚道とゆりかご田んぼ

私達がそう名付けたのは、この稲沢市祖父江町の地が生命の巣立ちのまさしく楽園であって欲しいという願いから。愛知県の要請により、「里地里山里海生物多様性啓発事業」として、水田地域の生物多様性を保全する「水田魚道」を牧川南部浄化センター脇の排水路と田圃を結んで設置しました。さまざまな生態系を観察することができます。

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・ホタルの生息調査

祖父江の自生ヘイケボタルの生息調査

稲沢市祖父江町内の数十箇所の地区について、ホタルの形態別生息場所数の変化、水田の取水口の方角とホタルの発生数の関係、水田の取水口の方角とホタルの発生する畦の向きの関係、そして、ホタルの生息が途絶えたエリアではその消失の原因分類を考察しています。

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・水質・底生生物調査

水質・底生生物調査

稲沢市祖父江町は、農業用水路232km、排水路123kmによって、町内全域を縦横に水路が張り巡らされています。このうち、宮田用水の水質レベルは木曾川と同質と予備調査で確認したので、対象を排水路に絞りました。調査目的は、①ホタル生息域の実態調査、②下水道整備後(農業基盤整備事業地域を含む)の追跡調査の二つです。

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・畔の草刈り活動

畔の草刈り活動

除草剤による畦の土壌が貧相になってしまうことは、ホタルの生態サイクル(幼虫→蛹→成虫)を考える上で非常に深刻な問題です。そのため、重要拠点を拠点を抽出し、地主様やオペレーターさん達のご理解・ご協議の上、年間計画(別表)を作成し、ボランティアで畦の草刈り活動を行っています。

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・出張環境教室

出張環境教室

稲沢市内の各小学校や中学校、高等学校にて「出前授業」を開いています。 生徒さんにこの地区の、自然を守る大切さを考えてもらえたらと思っているからです。 年々少なくなっている祖父江のホタルですが、絶滅したらおしまいです。 ご希望があれば、学校まで出かけていきます。もしよろければ、お問合せください。

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・自然観察会

自然観察会

予約も、会費も要りません。(自然を愛する気持ちが大切です)駐車場で立っているひとに、「観察会ですか?」と声を掛けてみてください。 「指導員」が居ますので、この地域の予期しない発見が楽しめます。お子様とご一緒に、お友達どうし、またはお一人でもお気軽に参加してください。

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・ホタルの観察会

ホタルの観察会

年に一度、6月の下旬ごろに、ホタルの観察会を開いています。祖父江のホタルを観察して、自然を守る大切さを考えてもらえたらと思っています。 年々少なくなっている祖父江のホタルですが、遠方より来ていただく方々にも 気持ちよく観察していただけるよう、「定員」を設けて実施しています。 是非ご参加ください。

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・祖父江イチョウまつり出展

祖父江イチョウまつり出展

私達の活動を知ってもらうため、祖父江町のイチョウ祭りに出展しています。毎年、11月の下旬に行われます。 もしよろければ、ご参加ください。  

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